名人戦七番勝負第4局 佐藤天彦名人ー羽生善治竜王(2日目)

こんにちは、シーマンです。

名人戦第4局は、18時半過ぎに終局、先手の天彦名人が79手で羽生竜王を下し、シリーズ成績を2勝2敗のタイに戻しました。


封じ手は大筋の予想通り5六角。そこから数手進んだ53手目に天彦名人が92分の大長考の末、2二歩成から3二角と攻め立てます。この場面では解説の先生方は後手がかなり苦しいのではと解説されていましたが、羽生竜王もさすがの指し回しで決め手を与えません。

私が本局で一番印象深かったのは、その後の天彦名人の指し回し。後手2七歩の垂れ歩に対する2九歩の受け、その後の2四飛に対する3九金の受けは見事の一言で、この局面で後手から有効な攻め筋がなくなってしまったようです。

本局は馬を捕獲しようと4二玉としましたが、名人が8三歩からの攻めを間に合わせ、そのまま押し切りました。


前期は不調が目立っていた名人ですが、本局を見て、やはり二日制における読みの深さ、正確さは棋界トップを争うと再確認させられました。次局以降も楽しみですね。

それではまた。


名人戦七番勝負第4局 佐藤天彦名人ー羽生善治竜王

こんにちは、シーマンです。

天彦名人の1勝2敗で迎えた名人戦第4局ですが、先程封じ手が行われ、先手の天彦名人が47手目を封じました。


横歩取りの出だしから、30手目までは2日前に行われた王位戦の羽生ー松尾戦と全く同じ進行。しかも羽生竜王が負けた後手側を持つということで、羽生竜王の用意の作戦が期待されましたが、先手の天彦名人が手を変えて31手目に2三歩と指します。

ここから両者長考が続きますが、局面としては序盤の激しい局面から一転、落ち着いた流れに変わります。


封じ手の局面は、解説の増田五段曰く先手指せそうとのこと。互角以上はありそうです。

増田先生は、42,43手目の1五歩、3四角を見て、この交換は先手が得をしたとのコメント。続く7四歩、8八金に対しても、先手得に見えるとの見解。最後の3三金についても、これで5六角なら先手が大分得したと発言されていました。仮に増田先生の見立てが正しければ中盤の折衝で天彦名人がポイントを重ねた可能性が高いです。

羽生竜王としては、先手の大駒どちらかを封じ込める展開にしたいところ。7三桂を活用して飛車に働きかける展開が予想されます。


明日の2日目にも注目ですね。それではまた。

名人戦七番勝負第1局 佐藤天彦名人ー羽生善治竜王

こんにちは、シーマンです。

名人戦第1局は、1日目の昼休憩明けから終盤戦に突入、凄まじい斬り合いになっております。

先手羽生竜王の4八玉に対して、天彦名人が38手目を封じて1日目が終了いたしました。

解説の先生曰く、形勢は不明とのこと。ほぼノーガードで攻め合って互角というのも凄いですね。


駒の損得は先手が飛車桂、後手が角金を持っており、ほぼ損得なし。玉の安全度は先手がやや良さそうに見えます。駒の働きに大きな差はなく、出番が後手ですから、総合的に互角というのも頷けます。

ただ個人的には、8三の地点が後手にとってキズになりそうな点、桂馬の価値が高い将棋になりそうな点を考慮すると、天彦先生の方に苦労が多そうな将棋に見えます…


明日は封じ手明けから長考が続く、密度の濃い将棋になりそうな予感です。楽しみですね。

それではまた。

第15回 詰将棋解答選手権チャンピオン戦

こんにちは、シーマンです。

本日、毎年恒例の詰将棋解答選手権が行われ、藤井聡太六段が全10問を全問正解し優勝、史上初の4連覇を達成しました。

 

藤井先生は「1時間はかかるだろう(by作成者)」と思われていた第1ラウンドをわずか55分で解答し退出。参加者唯一の全問正解で第1ラウンドから単独トップに立ちます。

さらに長手数の問題が出題される第2ラウンドでも、実質50分程度で解き終え、残り時間を見直しに費やす盤石の指し回し。見事第2ラウンドも全問正解し、満点で文句なしの総合優勝となりました。

ちなみに2位は94点の宮田六段、3位は82点の及川六段でした。

 

今回の4連覇で、改めて彼の終盤力の高さを証明する結果となりました。藤井先生は過去の大会でも驚愕のエピソードを残していますので、少しご紹介します。

第11回大会(当時奨励会1級、小5):第1ラウンドを20分で退出、全問正解(総合23位)

第12回大会(当時奨励会二段、小6):10問全問正解で初優勝

第13回大会(当時奨励会三段):またしても第1ラウンドを20分で退出、全問正解。総合90点で連覇達成。

第14回大会(当時四段):3連覇達成

 

私が藤井先生の名前を初めて耳にしたのは第12回大会で、小学生で優勝した天才がいるということで、当時から将来を嘱望された存在だったと記憶しています。が、現在の活躍ぶりは当時の期待を遥かに超えるものですね。。来年度も楽しみです。

 

それではまた。

 

 

豊島八段の過密日程が凄まじい

こんにちは、シーマンです。

先日行われたA級順位戦最終局は、首位の久保王将・豊島八段が揃って敗れ、3位タイの稲葉八段・広瀬八段・佐藤康光九段が揃って勝ったことにより、名人挑戦権の行方は前代未聞の6者(抜け番の羽生竜王含む)プレーオフとなりました。

これにより、順位が下位の豊島八段の最終局以降の日程は以下の通りとなっています。


3/2(金) A級順位戦 対広瀬八段(負け)

3/4(日) A級順位戦プレーオフ 対久保王将(勝ち)

3/5(月) 王将戦第5局 前夜祭@島根県大田市

3/6(火) 王将戦第5局 対久保王将 1日目

3/7(水) 王将戦第5局 対久保王将 2日目(勝ち)

3/10(土) A級順位戦プレーオフ佐藤康光九段(勝ち)

3/12(月) A級順位戦プレーオフ 対広瀬八段

3/13(火) 王将戦第6局 前夜祭@長野県松本市

3/14(水) 王将戦第6局 対久保王将 1日目

3/15(木) 王将戦第6局 対久保王将 2日目

3/18(日) A級順位戦プレーオフ 対羽生竜王

3/22(木) A級順位戦プレーオフ 対稲葉八段

3/26(月) 王将戦第7局 前夜祭@新潟県佐渡市

3/27(火) 王将戦第7局 対久保王将 1日目

3/28(水) 王将戦第7局 対久保王将 2日目


この通り、1ヶ月で最大9局対局する可能性があり、しかも2日制のタイトル戦と待ち時間6時間のプレーオフという体力的にもハードな棋戦が続きます。通常土日に対局を行うことは少ないのですが、今回はそうも言ってられないということで、ほぼ毎週末に対局が組まれています。ちょっとしたブラック企業のようですね…

王将戦は2勝3敗と久保王将に王手を掛けられ後がない状態であり、またプレーオフはパラマス式トーナメントの一番下からの登場ということで、不利なことは間違いないですが、それでも今期の豊島八段は何か成し遂げてくれるのでは?と思わせるほど勝ちまくっています。まずは明日の広瀬八段とのプレーオフ3回戦に期待しましょう。


それではまた。

升田幸三賞、名局賞の投票受付開始(2)

こんにちは、シーマンです。

さて、前回の名局賞予想に引き続き、升田幸三賞の予想もしてみたいと思います。

升田幸三賞は予想が難しいですね…というのも年によってはタイムリー性に欠ける受賞もありますので。(近年で言うと富岡流など)

私の予想は以下の通りです。

 

【本命】横歩取り 勇気流(佐々木勇気六段)

【対抗】新型雁木(増田康宏五段)

【大穴】菅井流三間飛車(菅井竜也王位)

 

本命は横歩取り勇気流と予想します。3四飛、6八玉型のことですね。実は昨年も勇気流に投票したのですが、残念ながら受賞はなりませんでした。昨年末時点では佐々木六段以外の棋士が採用しても勝率が悪かったので妥当だったと思いますが。今期も複数の棋士が採用している印象ですので、改めて本命に推したいと思います。

 

対抗は新型雁木です。二枚銀のクラシックな雁木ではなく、6七銀、4七銀のツノ銀の構えの雁木です。戦法の流行という観点で見ると、受賞候補筆頭と言えるでしょう。懸念としてはソフト発祥であり純粋な新手とは言いづらい点、受賞者は誰が適任か、というところでしょうか。おそらく増田五段と思いますが。

 

大穴には菅井王位がタイトル戦で連採して話題を集めた菅井流三間飛車を挙げます。ゴキゲン三間飛車やウッカリ三間飛車とも称されているようですね。定義としては5四歩からの三間飛車です。タイトル戦の大舞台で採用し、かつ結果も伴っている点は前述の戦法に勝る点ですね。ネックとしては菅井王位以外が使っている所を見たことがない点(なんなら菅井王位も最近採用してない)、また菅井先生は3年前にも同賞を受賞されていますので、その点がどうか、という気がします。

 

というわけで、私は勇気流に投票するつもりです。選考が楽しみですね。

それではまた。

升田幸三賞、名局賞の投票受付開始

こんにちは、シーマンです。

毎年恒例の升田幸三賞、名局賞の一般投票受付が開始されました。

第24回升田幸三賞・第12回名局賞アンケートフォーム

 

ちなみに私、昨年は見事名局賞を的中させることができました。観る将としての集大成ですので、今年も真剣に予想したいと思います。

 

早速ですが、現時点で私が考える名局賞候補は以下の通りです。

【本命】第65期王座戦五番勝負第1局 中村太地六段-羽生善治王座

【対抗】第76期順位戦A級10回戦 豊島将之八段-三浦弘行九段

【大穴】第43期棋王戦予選 藤井聡太四段-澤田真吾六段(千日手指し直し局)

 

本命は王座戦第1局と予想。中村先生が羽生先生に大逆転勝ちを収めた対局です。

報道陣が終局に向けて準備を始めるほどの敗勢から、中村先生が驚異的な粘りを見せ1時間近く秒読みの中で粘り続けます。最後には中村先生が猛攻を仕掛け、羽生先生が受け無しと判断し投了。しかし感想戦を進めてみると、先手の最善は千日手であり、まだまだ難解という驚きの結末でした。

中村太地先生の初タイトル獲得に懸ける執念を感じた一局ということで、本命に推します。懸念としては、途中でかなり形勢に差がついていた点、終局時点で実際には優劣不明という点、ここをどう判断されるか…という気はします。

 

対抗としては、先日行われたA級順位戦の豊島-三浦戦と予想。この対局も終盤に形勢が二転三転する熱戦でした。私は仕事が繁忙期でリアルタイムで見ていないのですが…

 

大穴には、棋王戦予選の藤井-澤田戦を挙げます。藤井聡太先生がデビュー後負けなしの20連勝を決めた対局であり、将棋連盟アプリのサーバをダウンさせた前代未聞の一局です。私もアプリを見ながら、なぜ更新されないのかおかしいなぁと思いながら更新ボタンを連打していた一人です。。

終盤、藤井玉が部分的には受け無しの状態から、王手の連続で自玉の詰めろを解除するという、藤井先生の凄まじい勝負術が見られた一局でした。おそらく表彰があるとすれば特別賞だとは思いますが、一応候補に挙げておきます。

 

他にも何個か挙げたかったのですが、印象に残る対局がすぐには思い出せませんでした。今期のタイトル戦は中盤で形勢が傾き、そのまま押し切る将棋が多かったように思います。

ただ、まだ対象期間の3月末までは時間がありますので、A級の最終局や、棋王戦、王将戦などで熱戦が見られることを期待します。

 

長くなりましたので、升田幸三賞については次回にします。それではまた。